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宍道断層 1.6倍の39キロ 島根2号機 中電修正方針 再稼働遅れも

 中国電力が、島根原発2号機(松江市)の近くにある宍道断層の長さの評価を現在の1・6倍となる39キロに延ばす方針を原子力規制委員会に伝えたことが6日、分かった。想定される地震の規模が大きくなることで、安全対策費が大幅に膨らみ、再稼働がさらに遅れる可能性がある。

 規制委によると、中電が5日のヒアリングで明らかにした。現在の評価を見直し、25キロから東方向に延ばす。規制委の担当者は「39キロにする方針は聞いたが、まだ根拠が示されておらず、何キロになるかは分からない」としている。

 原発の南約2・5キロを走る宍道断層を巡っては、政府の地震調査研究推進本部の調査を踏まえ、規制委が東に延びる可能性を指摘。中電は距離が延びないと主張してきたが、根拠を示せていなかった。

 6月上旬の審査会合後、中電は25キロから延長を検討する考えを規制委に伝えていたが、距離を伝えたのは初めて。中電は「東に延びないことを証明するのが難しいと考え、延ばすことは伝えた。距離は今後の審査会合で示す」としている。

 距離の大幅延長により、想定される地震の最大の揺れの強さ「基準地震動」が大きくなる可能性がある。規制委に現在示している800ガル(ガルは加速度の単位)を引き上げれば、原発設備の追加工事が必要になる見込み。

 断層の存在や長さを見直すのは5回目になる。再延長について、松江市の松浦正敬市長は「変更されると不安が大きくなる」と述べており、地元の住民や自治体からも中電に説明を求める声が上がりそうだ。(河野揚)

(2017年7月7日朝刊掲載)

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