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宇品凱旋館 歴史伝える 市郷土資料館企画展 縮小模型やパネル

 かつての軍都・広島を象徴する建物で、現存しない「宇品凱旋(がいせん)館」を模型やパネルで紹介する企画展が、広島市南区宇品御幸の市郷土資料館で開かれている。8月15日まで。

 凱旋館は、知事を会長とする建設委員会が、広島港から出兵、帰還する将兵の慰労の施設として今の宇品中央公園で1938年に着工。翌年に完成後、陸軍へ引き渡された。戦時中は船舶司令部が置かれ、原爆投下後は負傷者の救護所に。戦後は広島海上保安本部庁舎などに使われ、74年に取り壊された。

 企画展では、こうした歴史などをパネル8枚で説明する。模型は100分の1の縮尺で制作。スチレンボードやアクリル板などを使い、高さ22・75メートルの塔がそびえる鉄筋3階建ての本館と別館を再現している。昨年に岡山理科大工学部の李明准教授(当時)と学生たち計7人が当時の写真や図面を基に作った。

 訪れた南区の会社員、畠山実さん(61)は「こういう建物があったとは知らなかった。残して戦争の歴史を伝えても良かったのでは」と話した。期間中は7月17日を除く月曜と18、19日が休館。(伊藤友一)

(2017年7月9日朝刊掲載)

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