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基町小で8・6の集い 広島市は見送り…地域が奮起 平和学習 子ども会が主催

 広島市中区の基町小の児童が、原爆の日の8月6日、「平和の集い」を校内で開く。学校の登校日ではなく、子ども会が主催するスタイル。「8・6当日に、平和記念式典と並行して学習する意味は大きい」と判断した。広島市の全公立小中学校206校が、ことしの8・6に学校行事としての平和学習を開かないと決める中、新たな開催方法として注目されそうだ。(栾暁雨)

 平和の集いは、二宮孝司校長(54)の発案で、6月上旬から動きだした。市教委が2月に開いた校長向けの説明会で「8・6登校日の実施は難しい」と知った。登校日は8月4日に変更したが、「関係法令に沿いつつ、どうにか工夫したい」と子ども会世話役の植田成年さん(58)と話し合った。

 同校の子ども会は、112人の全校児童が加入している。植田さんは「これまでは学校中心で平和教育を担ってきた。子どもや地域が主体となって8・6学習を継承していく方法もある」と賛同。卒業生で幟町中3年の5人が、教員に代わって進行役を担う方式での開催が決まった。

 学区には、原爆復興を象徴する公営住宅が立ち並び、被爆樹木も残る。児童は、1989年に枯死した被爆エノキの種子から育てた苗木を全国に送る活動を続けている。進行役の1人の星元律樹さん(14)は「平和への思いが強い学校。8・6という特別な日に学んできた平和を守る精神を、後輩に託したい」と力を込める。

 当日は、平和記念式典が終わった後の午前9時20分ごろから体育館に集合し、約40分の行事を開く。2014年に5人が制作した被爆エノキの歴史をたどる約15分間のビデオを上映し、在校生が感想や平和への決意を発表する。

 「8・6登校日」がなくなったのは、8月6日を市職員の休日とする市の条例が本年度から市立小中学の教職員にも適用されるため。教職員の給与などに関する特措法に基づき休日の登校が難しくなった。二宮校長は「来年以降、8・6の平和学習の在り方について議論を進めるきっかけになればいい」としている。

(2017年7月11日朝刊掲載)

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