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核禁条約 政府支持せず 岸田外相「アプローチ異なる」

 岸田文雄外相(広島1区)は11日の記者会見で、国連の交渉会議で7日に採択された核兵器禁止条約を日本政府としては支持しない考えを明らかにした。

 核兵器保有国が条約に反発していることを念頭に岸田氏は「(核軍縮には)保有国、非保有国の協力が重要だ。条約の交渉自体、わが国の基本的な考え方と相いれない」と強調。今後は、核拡散防止条約(NPT)などの枠組みを通じ「現実的、実践的な取り組みをリードしていく」と述べた。

 条約が採択された背景には「核軍縮の進展の遅さに対し、非保有国には不満や、早急に実質的な前進を得たいとの願いがある」と分析。「思いは強く共有する。わが国の考え方とはアプローチを異にしている」と述べた。

 条約は、禁止事項に核兵器使用の威嚇を盛り込むなど、核抑止力に頼る日本などの安全保障政策に否定的な内容となっている。この点について岸田氏は「交渉に参加していないので中身への言及は控える」と評価を避けた。(田中美千子)

「被爆者に言及」広島知事評価

 広島県の湯崎英彦知事は11日の記者会見で、国連で採択された核兵器禁止条約について、前文の被爆者への言及などを評価する一方、「核兵器廃絶につながるかという観点が必要。核保有国を遠ざけている側面もある」と指摘した。

 署名しない方針を示している日本政府には「核保有国と非保有国をどう橋渡しするのか、具体策を見せてほしい」と注文。政府の今後の取り組みを注視する考えを示した。

(2017年7月12日朝刊掲載)

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