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旧中島地区の営み伝える 原爆資料館 被爆時の地表面展示

 原爆資料館本館(広島市中区)敷地の発掘調査で出土した被爆当時の地表面の展示が11日、東館地下で始まった。壊滅的な被害を受けた旧中島地区の人々の暮らしを伝える貴重な資料で、来年3月まで。

 市によると、地表面は縦70センチ、横104センチ、厚さ13~18センチ。焼け焦げた木製のしゃもじや金属製のふた、熱で溶けたガラス片、炭化した木材などが見える。爆心地から約400メートル離れた本館敷地の北東部分で、現在の地表の約70センチ下から出土した。爆風で押しつぶされた建物の下で燃え尽きずに残ったとみられる。

 この日は、被爆遺構の保存・啓発を進める市民団体のメンバーが見学に訪れた。出土現場近くの旧天神町に6歳まで暮らした西区の森川高明さん(78)は「近所の伯母は骨になって見つかったと聞いた。古里を感じさせる資料が、平和を考える機会につながってほしい」と語った。

 本館の耐震改修工事に先立ち、2015年11月からことし3月にかけて市の委託で市文化財団が発掘調査。市平和推進課は「たった一発の原爆によって人々の営みが街ごと破壊し尽くされた。失われたものの大きさを感じてもらいたい」としている。(野田華奈子)

(2017年7月12日朝刊掲載)

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