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[核なき世界への鍵] 国は保有国と橋渡しを 禁止条約受け要求へ 広島平和宣言案

 広島市の松井一実市長がことしの原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、核兵器禁止条約の制定を歓迎し、日本政府に対して核保有国と非保有国の「橋渡し役」を果たすよう求める見通しであることが分かった。14日、市役所であった有識者や被爆者の懇談会で松井市長が文案を示し、おおむね了承された。

 平和宣言では、国連の交渉会議で今月7日に制定されたばかりの禁止条約に言及。核兵器廃絶に向けた取り組みを市民社会に促す一方、「橋渡し役」を自任しながら制定交渉に参加しなかった日本政府に未来志向で行動を迫ることになる。

 ことしの懇談会は4月から開き、4回目のこの日が最後。前回までの懇談会で、原爆被害を受けた憎しみや怒りを乗り越えて核兵器廃絶を願い続けた被爆者の「良心」を踏まえ、各国の指導者に「誠実」な対応を期待する内容を盛り込む点を確認している。

 松井市長は非公開で意見交換後、報道各社の取材に対し、「条約制定は核兵器廃絶へ一歩前進だという共通の受け止めがあった。廃絶につなげる取り組みをしっかり考えてもらう平和宣言にしたい」と述べた。原爆の日までに起草する。(野田華奈子)

(2017年7月15日朝刊掲載)

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