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山口知事「署名しない」 ヒバクシャ国際署名 政府に同調 被爆者から失望の声

 核兵器を禁止し廃絶する条約の締結を全ての国に求める「ヒバクシャ国際署名」について、山口県の村岡嗣政知事は14日、自らは署名しない考えを示した。政府は7日に採択された核兵器禁止条約を支持しない方針で、歩調を合わせた形だ。中国地方では広島、鳥取両県知事が既に署名しており、山口県内の被爆者からは「悲しい以上に腹立たしい」と失望の声が聞かれた。(折口慎一郎)

 国際署名は昨年4月、日本被団協が提唱しスタートした。呼び掛け文では「人類は生物・化学兵器の使用や開発を条約で禁じた。核兵器を禁じるのにためらいが必要か」などとし、全ての国が条約を締結するよう求める。2020年まで集め、随時、国連に届ける。

 村岡知事はこの日の記者会見の質問に答え、「核兵器を廃絶して世界の恒久平和を実現することは人類共通の喫緊の課題だ」とした上で、「条約についての国のスタンスに関わる。国の動向を注視する」とし、「(署名する)考えはない」とした。また、国連の交渉会議で7日に採択された核兵器禁止条約については、「個別に良いとか悪いとかを評価しない」と明言を避けた。

 山口県内の被爆者数は2809人(3月末現在)で、人口比率は広島、長崎両県に次いで全国3番目。13日には、県被団協など8団体でつくる組織が村岡知事に署名を求める文書を送っていた。知事の対応に対し、森田雅史・県被団協会長(74)は「話にならない。国の動向を気にするばかりでは困る」と批判した。

 同署名を巡っては、湯崎英彦広島県知事や平井伸治鳥取県知事を含む15府県知事が署名。岡山、島根両県知事は現時点で署名の要請を受けていないという。

 一方、長崎の県と全市町の首長のうち唯一署名していない佐世保市長は「(核兵器禁止条約交渉に)参加していない政府の方針に同調する」としている。

(2017年7月15日朝刊掲載)

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