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呉空襲 語り継ぐサイト ヤフー開設「教育現場でも活用を」

 太平洋戦争末期の呉空襲の証言を伝えるインターネットサイトを、IT大手ヤフー(東京)が開設した。次世代に体験を語り継ぐために企画した。(見田崇志)

 サイトは、体験者の証言映像5本と、海軍関連施設が集中し、激しい爆撃を受けた呉空襲の特徴をまとめたドキュメンタリーが閲覧できる。

 当時18歳だった宮本澄枝さん(91)=呉市本町=は防空壕(ごう)の様子を語った。大勢が押し寄せ、火の粉と煙が入って息苦しくなる中、「最後の別れをしようと大合唱になり、息絶えていった」と振り返る。

 ほかの体験者も「街が真っ赤に燃える様子が忘れられない」「逃げ遅れた学生が機銃掃射で亡くなった」などと惨状を語る。

 同社はインターネットで後世に戦争を伝えるため、昨年8月に特集サイト「空襲の記録」を開設。東京など全国15都市の空襲について、地元ケーブルテレビ制作の映像も含めて配信している。

 呉空襲については、戦争証言の映像を長年撮影してきた同社の宮本聖二プロデューサー(59)たちが、昨年12月に呉市内で取材した。中国地方では岩国空襲に続いて2カ所目。

 証言した呉戦災を記録する会の朝倉邦夫代表(80)は「呉の被害が全国に知られるのはありがたい。なぜこのような被害を受けたのか、歴史を考えるきっかけにしてほしい」と願う。宮本プロデューサーは「呉空襲は日本軍も激しく応戦し、一帯が戦場と化した点に驚いた。映像を教育現場でも活用してほしい」と話している。呉空襲の特設サイトのアドレスは、https://wararchive.yahoo.co.jp/airraid/detail/24/

(2017年7月19日朝刊掲載)

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