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「被爆の憎しみ越えて」 畑口元原爆資料館長 母校大野東小で講演

 廿日市市の大野東小で、原爆資料館(広島市中区)元館長で胎内被爆者の畑口実さん(71)=廿日市市=が講演した。畑口さんは同小の卒業生。母校の5、6年計約290人に、被爆者の思いや自身と原爆の向き合い方を伝えた。

 畑口さんは宮島口で1946年3月に生まれた。前年8月6日の原爆投下で広島市内にいた父が亡くなり、当時おなかに実さんを宿していた母が広島で父を捜し、入市被爆したと説明。「なぜ生まれながらに父がいないのか」と20代後半まで原爆投下国の米国を憎んだと打ち明けた。

 一方で、「暴力の応酬が戦争につながる」と強調。「被爆者の多くが憎しみを乗り越えてきた」と語り、聞き入る児童に「相手を思いやる気持ちの積み重ねが平和につながる」と呼び掛けた。

 館長を97年から9年務めた畑口さん。今も広島を訪れる修学旅行生に講演するが、母校では初だった。爆心地から約20キロ離れた地域でも被爆を身近に感じてほしいと自ら学校へ打診し、今月19日に実現した。6年黒川優斗君(11)は「当たり前の生活ができる平和を大切にしようと思った」と話した。(山瀬隆弘)

(2017年7月21日朝刊掲載)

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