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外相と核軍縮議論 賢人会議の日本人委員

 核兵器保有国と非保有国双方の有識者が核軍縮に向けた具体策を議論する「賢人会議」の日本人委員6人が25日、今秋にも開かれる初会合を前に、設置を提唱した岸田文雄外相と懇談した。国連で今月、採択された核兵器禁止条約などについて意見を交わした。

 広島平和文化センターの小溝泰義理事長や、被爆者である長崎原爆病院の朝長万左男名誉院長、座長の白石隆前政策研究大学院大学長たち6人が外務省を訪れた。岸田氏は「核兵器のない世界へ、保有国と非保有国の協力が不可欠だが対立は深刻だ。信頼の再構築に何が必要か議論してほしい」と求めた。

 面会は冒頭を除き非公開。同省によると、核兵器禁止条約について「日本も将来的な批准を」と求める声が出た一方、「核拡散防止条約(NPT)体制にマイナス影響がある」との指摘もあったという。

 賢人会議の委員は計16人で、海外は核保有国の米国やロシア、安全保障を米国の「核の傘」に頼るオーストラリア、禁止条約に賛成したエジプトなど9カ国の10人。来年4月のNPT再検討会議第2回準備委員会への提出を目指し、核軍縮に関する提言をまとめる。

 懇談後、小溝氏は「被爆者や市民の思いを踏まえ、核の危険性や非人道性、核抑止政策の限界を訴える」と強調。朝長氏は「禁止条約不支持という政府の決定を追認するのでなく、ポスト核抑止の安全保障の在り方を議論したい」と話していた。(田中美千子)

(2017年7月26日朝刊掲載)

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