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社説・コラム

『書評』 郷土の本 「ひまわりが咲くたびに“ふくしま”が輝いた!」 ヒマワリ通じ被災地との絆

 東日本大震災を機に始まった「福島ひまわり里親プロジェクト」。ヒマワリの種を全国の学校や企業に購入して育ててもらい、実った種を福島県内で育てて復興のシンボルとして花を咲かせている。「ひまわりが咲くたびに“ふくしま”が輝いた!」は、プロジェクトを引っ張るNPO法人チームふくしま(福島市)が活動をまとめた本だ。

 活動は、広島市安佐北区出身で同法人理事長の半田真仁さん(39)たちが2011年5月に始めた。原発事故などの影響で観光客が減り、地元の福祉事業所が土産物の菓子箱を折る仕事を失ったことが活動のきっかけという。事業所に種の袋詰めや発送を担ってもらった。13年からは全国の「里親」が集うイベント「ひまわり甲子園」も開く。

 本書では、事例を挙げながらプロジェクト参加者との交流をつづっているが、広島県は特に活発な地域だという。向原高や広島修道大の若者との交流、公立みつぎ総合病院(尾道市)の患者が福島の子どもの未来に思いをはせて詠んだ短歌なども紹介している。

 半田さんは「ヒマワリを通じて人の絆を深められた。活動を知ってもらうことで、震災を伝え継ぐ一助にしたい」と話す。

 1296円。ごま書房新社。(鈴木大介)

(2017年7月30日朝刊掲載)

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