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放影研移転調査費計上へ 来年度予算案 厚労省が方針

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の移転に向け、厚生労働省が2018年度予算案の概算要求に関連の調査費を盛り込む方針を固めたことが2日、分かった。広島市から提案された市総合健康センター(中区)への移転案を踏まえ、検討を本格化させる。

 放影研の移転については、市が先行取得した広島大工学部跡地(中区)への移転構想が1993年にまとまったが、財政負担面で米側から難色を示され、凍結状態になった。市は昨年、移転費用を抑えたい厚労省の意向を踏まえ、既存施設である健康センターへの移転案を新たに構想した。

 市はことし6月、松井一実市長が塩崎恭久厚労相と面会し、18年度予算への調査費計上を求めた。調査費計上は懸案解決に向けた一歩となるが、今後は費用分担を含め米政府との合意が要る。また、健康センターには市医師会が被爆者の検査施設を構えており、市は別の場所に移ってもらうよう調整を進めている。

 放影研は、米国が47年に設けた原爆傷害調査委員会(ABCC)が前身。50年に現在地の比治山公園へ移ったが、地元には移転を求める声が根強い。市は、比治山公園を「平和の丘」として再整備する計画を立てている。(田中美千子)

(2017年8月3日朝刊掲載)

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