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被爆 母の最期つづる 岩国の古川さん出版 闘病に苦しむ姿回顧

 岩国市南岩国町の古川豊子さん(82)が、原爆投下直後の広島に入り、その後、白血病やがんに苦しんで40代で亡くなった母の最期を本にまとめた。「あざみの花」と題し、原爆の悲惨さや家族の苦悩を伝えている。(馬上稔子)

 古川さんの家族は当時、現在の広島県北広島町に住んでいた。原爆投下直後、母親は姉(当時12歳)とともに広島市内で時計店を営んでいた伯父夫婦を捜しに入市。市内で3日間過ごしたという。

 古川さんによると、母親は被爆から4年後に白血病を発症し、乳がんが発覚。手術を受けたが3年後にがんが再発した。本の中では、自宅療養中に髪が抜け落ち泣き叫んだことや、激痛に苦しんだ姿などにも触れた。

 「若かった母が苦しんだ様子は残酷すぎて、これまで話せなかった」と古川さん。知人から「惨状を知ってもらうことが供養になるかもしれない」と声を掛けられ、執筆を決めた。

 古川さんは「こんなつらい思いをする人が二度と出ないよう、放射能の恐ろしさをみんなに知ってもらいたい」と話している。

 B5判変型、40ページ。岩国、広島両市の書店などで販売している。長周新聞社刊、1600円(税抜き)。古川さん(宇野千代生家)☎0827(43)1693=水、金、土、日曜の午前10時~午後4時。

(2017年8月3日朝刊掲載)

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