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被爆の記憶 どう継承 広島でシンポ 80人学ぶ

 被爆体験や戦争の記憶の継承をテーマにしたシンポジウムが2日、広島市中区の広島大東千田キャンパスであった。広島大平和科学研究センターの主催。平和学や国際政治の専門家たち5人が、約80人を前に議論した。

 川野徳幸センター長は、被爆者健康手帳の保持者が1981年3月末の37万2264人をピークに減少に転じ、継承の重要性が議論されるようになってきたと分析。一方、体験を語ろうとしない被爆者もいるとして「体験を継承するには、恨みや核なき世界への願いなど、複雑な感情を全て伝えていかなければならない」と訴えた。

 原爆資料館(中区)の志賀賢治館長は、資料の収集や劣化が課題になっていると説明。デジタル化で記録と保存に取り組んでいるとした。英シェフィールド大のグレン・D・フック名誉教授は、太平洋戦争で地上戦を経験し、現在も米軍基地が集中する沖縄県を取り上げ「県民には『戦争はまだ終わっていない』という認識もある」と指摘した。(江川裕介)

(2017年8月3日朝刊掲載)

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