日常に潜む「あの日」 広島の藤岡さん 3作目写真集
17年8月4日
広島市西区在住の写真家藤岡亜弥さんが、写真集「川はゆく」を出版した。ページをめくると、広島市中心部で捉えたスナップ風のカラー写真が、場所を変えて次々と現れる。多くは何げない日常風景だが、「あの日」の記憶とどこかで結びつき、見る者を揺さぶる。
修学旅行中らしき若者が跳びはねたり、通り掛かりの観光客が息抜きをしたり。普段と変わりない人々の営みの中に、72年前、光景を一変させた川の流れや建物がのぞく。笑い合う若者たちでいっぱいの路面電車内にも、ヒロシマの記憶は見え隠れする。
藤岡さんは呉市出身。東京や米ニューヨークで活動した後、4年前に広島市へ移り、撮影を重ねた。昨年、広島のほか東京と大阪で写真集と同じタイトルの展覧会を開き、第41回伊奈信男賞を受賞した。ことしになって撮った作品も合わせ、3作目の写真集としてまとめた。
あの日の痕跡を追うのではなく、今ある日常を通して、現在進行形のヒロシマを可視化しようとする試み。困難な作業だが、「自分の視点で考えながら撮った」と藤岡さんは語る。
赤々舎刊。A4判変型、240ページ。5400円。(上杉智己)
(2017年8月4日朝刊掲載)
修学旅行中らしき若者が跳びはねたり、通り掛かりの観光客が息抜きをしたり。普段と変わりない人々の営みの中に、72年前、光景を一変させた川の流れや建物がのぞく。笑い合う若者たちでいっぱいの路面電車内にも、ヒロシマの記憶は見え隠れする。
藤岡さんは呉市出身。東京や米ニューヨークで活動した後、4年前に広島市へ移り、撮影を重ねた。昨年、広島のほか東京と大阪で写真集と同じタイトルの展覧会を開き、第41回伊奈信男賞を受賞した。ことしになって撮った作品も合わせ、3作目の写真集としてまとめた。
あの日の痕跡を追うのではなく、今ある日常を通して、現在進行形のヒロシマを可視化しようとする試み。困難な作業だが、「自分の視点で考えながら撮った」と藤岡さんは語る。
赤々舎刊。A4判変型、240ページ。5400円。(上杉智己)
(2017年8月4日朝刊掲載)