×

ニュース

広島県、飛行自粛を要請 原爆の日のあすにも艦載機移転開始 首長「特別な日 配慮を」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ空母艦載機61機が移転する計画は4日、米側から移転開始は「6日ごろから」と伝えられ、ついに実施段階に入った。突然の知らせに、中国四国防衛局や岩国市、山口県は慌ただしく対応に追われ、広島県や広島市は6日の広島原爆の日への配慮を強く求めた。

 防衛局はこの日、岩国市愛宕山地区の米軍家族住宅エリアの見学会を開き、赤瀬正洋局長と福田良彦市長も参加していた。赤瀬局長に移転開始時期の連絡が入ったのは、午後2時半の見学会終了後。赤瀬局長は福田市長を追うように市役所を訪問し、同3時15分から情報を伝えた。

 山口県へは同局職員が同4時半ごろ、岩国基地対策室の矢敷健治室長たちに説明。矢敷室長は「E2D早期警戒機5機は一体で来るのか、さみだれ式なのか」と詳細の確認を迫ったが、防衛局側は「情報がない」と繰り返した。

 広島原爆の日に移転が始まる可能性を含め、防衛局職員から説明を受けた各自治体からは反発の声が上がった。広島県は当日は飛行しないよう、同局に強く要請。湯崎英彦知事は「不安が増すことのないように国や米軍に対応を求めていく」と述べた。広島市の松井一実市長も「原爆死没者の霊に哀悼をささげ、世界恒久平和を祈念するための日であり、被爆者や遺族たちの心情への配慮を求める」とのコメントを出した。廿日市市の真野勝弘市長は「広島にとって特別な日であり、大変遺憾」。大竹市の入山欣郎市長も「特別な日への配慮がない」と批判した。

 毎年、原爆投下時間の午前8時15分の飛行自粛を岩国基地に求めている岩国市は、福田市長があらためて赤瀬局長に要請。山口県の村岡嗣政知事も「さまざまな方への心情に配慮し、その日(6日)やその時刻での飛行は控えてほしい」と話した。

 防衛局の幹部職員は「地域住民の感情も考慮し、慰霊の日だけは避けたいとの思いが以前から局内にあった」と漏らした。

(2017年8月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ