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核なき世界 決意新た 広島きょう原爆の日

 広島は6日、米軍の核兵器使用で非人道的な惨禍に遭ってから72年となる朝を迎えた。先月に国連で核兵器禁止条約が制定されて初の原爆の日。広島市は午前8時から平和記念公園(中区)で、70回の節目の原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)や、安倍晋三首相、各国政府代表を招き、原爆慰霊碑を前に廃絶への決意を誓う。

 市の式典では、松井一実市長と遺族代表2人が、新たに5530人の名前を刻んだ広島の原爆死没者名簿を慰霊碑に納める。「氏名不詳者多数」と記す1冊を含め、113冊計30万8725人分になる。原爆投下時刻の8時15分、遺族代表の井口小教諭木村陽己さん(40)=西区=と、こども代表の中筋小6年紀平鵬裕君(12)=安佐南区=が突く「平和の鐘」の音とともに黙とうを呼び掛ける。

 松井市長は平和宣言で、核兵器がある以上、惨禍が繰り返される恐れを指摘。禁止条約は廃絶に向かう明確な決意の表れだとし、日本政府に対して、条約の締結促進へ、核保有国と非保有国の橋渡しに「本気」で取り組むよう迫る。「平和への誓い」を大芝小6年竹舛直柔君(11)=西区=と、中筋小6年福永希実さん(11)=安佐南区=が発表する。

 安倍首相があいさつをし、国連のグテレス事務総長の代理として出席する中満上級代表がメッセージを代読する。過去3番目に多い80カ国と欧州連合(EU)の代表が出席を予定。都道府県の遺族代表は36人で過去最少となった。式典は1947年8月6日が第1回。朝鮮戦争の影響で中止になった50年を除き、毎年開かれている。

 核兵器禁止条約は計約1カ月の交渉会議を経て、122カ国の賛同で採択された。前文で被爆者の苦しみと廃絶への努力を記述。1条で、いかなる状況でも使用や使用するという威嚇、保有など核兵器に関する行為を全面的に禁じる。廃棄計画の提出などを条件に保有国の加盟にも道を開く。ただ、保有9カ国や米国の「核の傘」の下にある日本は交渉に参加しなかった。(岡田浩平)

(2017年8月6日朝刊掲載)

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