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「劇中と今 見比べて」 映画「この世界の片隅に」 広島 片渕監督トーク

 戦時下の呉や広島を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督を招いたトークイベントが5日、広島市中区の福屋八丁堀本店であった。約300人が作品に込められた思いに触れた。

 片渕監督と、作品を上映している中区の映画館「八丁座」の蔵本健太郎支配人が登壇した。主人公すずが嫁ぎ先の呉から里帰りした際、福屋八丁堀本店をスケッチする場面について、片渕監督は「原作はJR広島駅を描いていたが、戦前からの姿が残る建物に替えた」と説明。「作品に登場する店舗を訪れて、今の姿と比較してみてほしい」と語り掛けた。

 蔵本支配人は、八丁座で観客から笑い声が上がる様子を紹介し「戦時中の生活は苦しい部分が多かっただろうが、くすっと笑えるような幸せもたくさんあったと思う」と語った。

 友人と参加した西区の会社員道田沙知子さん(29)は「戦争を身近に感じてもらおうと、事実に忠実であることを大切にした監督の思いが分かった」と話していた。(新山京子)

(2017年8月6日朝刊掲載)

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