×

ニュース

安倍晋三首相あいさつ(要旨) ヒロシマ8・6

 今から72年前のあの朝、一発の原爆がここ広島に投下され、十数万ともいわれるあまたの貴い命が失われました。街は一瞬にして焦土と化し、一命を取り留めた方々にも、言葉では言い表せない苦難の日々をもたらし、若者の夢や明るい未来も容赦なく奪われました。

 このような惨禍が二度と繰り返されてはならない。唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けた歩みを着実に前に進める努力を絶え間なく積み重ねていくこと。それが今を生きる私たちの責務です。

 真に「核兵器のない世界」を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要です。わが国は非核三原則を堅持し、双方に働き掛けを行うことを通じて、国際社会を主導していく決意です。

 そのため、あの悲惨な体験の「記憶」を世代や国境を越えて、人類が共有する「記憶」として継承していかなければならない。昨年、オバマ大統領が現職の米国大統領として初めて、この地を訪れ、被爆の実相に触れ、核を保有する国々に対して、核兵器のない世界を追求する勇気を持とうと力強く呼び掛けました。核を保有する国の人々を含め、広島・長崎を訪れる世界中の人々が、被爆の悲惨な実相に触れ、平和への思いを新たにする。被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ。政府として、そうした取り組みをしっかりと推し進めます。

 そして各国の有識者の知見も得ながら、核拡散防止条約(NPT)発効50周年となる2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう、積極的に貢献します。

 被爆者の方々には、保健、医療、福祉にわたる総合的な援護施策の充実をしてきました。今後とも、被爆者の方々に寄り添いながら、援護施策を着実に推進します。特に原爆症の認定について、引き続き、一日も早く結果をお知らせできるよう、できる限り迅速な審査をします。

(2017年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ