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アントニオ・グテレス国連事務総長メッセージ(要旨) ヒロシマ8・6

 1946年、有識者の方々が広島復興の構想の提案を依頼された時に、広島出身の被爆作家、大田洋子氏は「川べりには緑の樹木を多く植え、夢と実際問題とを上手に結び付け、生活を豊かにすべきだ」と述べられたそうです。

 今日、世界が広島に目を向けるとき、そこには人々の強靱(きょうじん)さと復興への多くの夢と希望の上に美しく築かれた街があります。

 広島の皆さまの平和への強い決意は、世界にとってのインスピレーションでもあります。私たちは、多くの課題に満ちた時代に生きています。今なお存在する1万5千発の核兵器は、時としてその使用を巡る危険な言動と相まって、脅威であり続けています。

 このような状況の中、今年は核軍縮に向けて新しい展開がありました。先月、国連加盟国は核兵器禁止条約を採択しました。この動きは、いかなる状況においても核兵器の使用は容認できないことに着目した世界的な運動の結果と言えるでしょう。広島の平和へのメッセージと被爆者の方々の英雄的な努力は、核兵器の使用がもたらす壊滅的な影響を世界に強く印象づけ、核兵器廃絶を目指す世界的な運動に貴重な貢献をしてきました。

 核兵器のない世界は、残念ながら、いまだ現実から遠い所にあります。核兵器を保有する国々は、核軍縮に向けて具体的なステップを踏む特別な責任を有しています。核兵器のない世界への道筋は一つではありません。私は、全ての国々に対し、共通のビジョンの実現に向けて、それぞれのやり方でより一層の努力を尽くしていただくよう訴えます。

 グローバルなビジョンはグローバルな努力を必要とします。私は、広島の皆さまが平和と希望のメッセージを世界に向けて引き続き発信し続けておられることに、心から感謝します。そして、国連は皆さまと共に、核兵器のない世界を実現するためにこれからも努力を重ねます。

(2017年8月7日朝刊掲載)

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