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原爆の日 草の根で平和を誓う 福山・尾道・三原で慰霊式

 広島原爆の日の6日、福山、尾道、三原の3市でも慰霊式が開かれた。被爆者たちからは、国連での核兵器禁止条約制定を受け、廃絶へ決意を新たにする声が上がった。

 福山市原爆被害者友の会は、同市霞町の中央公園の慰霊碑前で式典を開き、約60人が参列した。この1年で亡くなったか死亡が確認された35人を含む1296人分の死没者名簿を碑に納めた。

 被爆者の高齢化が進む中、友の会はことし市神辺町原爆被害者の会と合流。被爆2世で友の会の藤井悟会長(70)は「草の根の活動を続け、被爆者や平和を願う人たちのつながりを深めたい」と思いを新たにした。

 尾道地区原爆被害者の会は尾道市東尾道の慰霊碑前で開き、約50人が参列。槙原弘会長(85)が、この1年で亡くなった7人の名前を加えた432人の死没者名簿を奉納した。

 同市御調町の御調文化会館であった、御調町原爆被害者協議会の追悼法要には22人が出席。この1年で亡くなった3人の名前が読み上げられた。

 三原市原爆被害者之会は、同市本町の慰霊碑前で式典を開き、約90人が参列。新たに19人を加えた580人分の名簿を碑に納めた。献水した中学1年村上敏規さん(13)は「被爆者の思いを、若い世代が世界へ伝えていかなければ」と話した。

 条約について、各団体から歓迎や課題を指摘する声も出た。福山の会の藤井会長は「これまでの活動の積み重ねがあったから実現した」。御調町の協議会の溝上泰会長(85)は「被爆の実態を証言し、核廃絶への世論をさらに高めることが被爆者の使命」と述べた。

 一方で、尾道の会の槙原会長は「意義はあるが、核保有国なども参加するべき」。三原市の被害者之会の苞山(ほうやま)正男会長(88)は条約を支持しない姿勢を示す日本政府に「被爆者の怒りは大きく広がっている」と強調した。

(2017年8月7日朝刊掲載)

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