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旧中島本町 片渕監督も参列 元住民「映画が供養に」

 原爆で壊滅し、いまは平和記念公園になっている旧中島本町の元住民たちは、町の復元地図板がある公園内の「平和乃観音」像前で慰霊祭を開いた。戦時下の中島本町が登場するアニメ映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督も駆け付け、犠牲者に思いをはせた。

 「8時15分」を初めて広島で迎えたという片渕監督は、アニメで描いた実在の人を思い浮かべながら「普通の人たちが、そうでなくなった瞬間に立ち会った気がした」と目を潤ませた。焼香では、心の中で犠牲者に自己紹介し「この街にかかわった縁を大切にしたいと誓った」と明かした。

 元住民でつくる旧中島本町平和観音会が開き、疎開中で助かった元学童たち約60人が集った。中には片渕監督に歩み寄り「にぎやかな街だったことが映画で伝わり、供養になった」と感謝の気持ちを伝える人もいた。

 実家が理髪店だった副会長の浜井徳三さん(83)=廿日市市=は「映画で描かれた中島本町を、次の世代に申し送りできるようにしたい」と力を込めた。(馬場洋太)

(2017年8月7日朝刊掲載)

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