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被爆医師の「使命」継ぐ 肥田さんの長男が講演

 3月に100歳で亡くなった被爆医師、肥田舜太郎さんの長男で医師の泰(ゆたか)さん(72)=さいたま市=が、広島市中区で講演し、原爆の悲惨さに向き合い続けた父の歩みを振り返った。

 陸軍病院の医師として広島に赴任していた肥田さんは原爆投下時、戸坂村(現東区)に往診中だった。投下直後から被爆者救護に当たり、自らも被爆した。 「父は、多くの人がなすすべもなく亡くなっていくのを目の当たりにし、核兵器廃絶と被爆者に寄り添うことを自分の使命と決めていた」と泰さん。肥田さんが晩年まで原爆被害の悲惨さや内部被曝(ひばく)の危険性を訴え続けた「語り部」としての活動も紹介した。

 泰さんは、自ら所長を務める地元の診療所で約50人の被爆者の診療を続けている。「高齢化した被爆者に最期まで寄り添い、父の遺志を継ぎたい」と決意を語った。

 講演会は広島陸軍病院原爆慰霊会が主催し、約50人が参加した。京都府城陽市の医師工藤恵康さん(69)も登壇し、軍医の父功造さん(2006年に91歳で死去)が肥田さんとともに救護に当たったことを紹介。内部被曝の人体への影響なども解説した。(明知隼二)

(2017年8月7日朝刊掲載)

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