被爆者 条約参加訴え 安保政策転換 首相に迫る
17年8月7日
安倍晋三首相が出席する「被爆者代表から要望を聞く会」が6日、広島市中区であった。二つの広島県被団協など7団体の各代表が出席し、国連で7月に制定された核兵器禁止条約への署名を迫った。(田中美千子、城戸良彰)
「怒りを込めて抗議する」。広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長(88)は、条約の制定交渉に参加せず、署名しない姿勢を示す政府を強い言葉で非難した。その上で、全団体の総意として条約への署名を求め、国の安全保障を核兵器に頼る政策からの転換を訴えた。
これに対し、首相は「核軍縮の進め方を巡っては、保有国、非保有国の双方の参画が必要だ」と指摘。核兵器保有国が支持していない条約を、暗に否定した。同席した河野太郎外相も「(条約により)保有国、非保有国の間が分断されてしまった。われわれが懸け橋となっていかなければならない」と述べた。
終了後、県被団協の佐久間邦彦理事長(72)は「政府はいつも『懸け橋になる、日本は中立だ』と言うが、立ち位置が保有国の側にあるのは明らか。日米同盟を最優先し、被爆者の声など聞いていない」と憤った。
もう一つの県被団協の坪井直理事長(92)は、日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、南区)の早期移転も要望。同席した加藤勝信厚生労働相(岡山5区)は2018年度、移転に向けた放影研の調査を支援する方針を示した。また、市が養成した被爆体験伝承者の国内外への派遣事業を検討することも明らかにした。
(2017年8月7日朝刊掲載)
「怒りを込めて抗議する」。広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長(88)は、条約の制定交渉に参加せず、署名しない姿勢を示す政府を強い言葉で非難した。その上で、全団体の総意として条約への署名を求め、国の安全保障を核兵器に頼る政策からの転換を訴えた。
これに対し、首相は「核軍縮の進め方を巡っては、保有国、非保有国の双方の参画が必要だ」と指摘。核兵器保有国が支持していない条約を、暗に否定した。同席した河野太郎外相も「(条約により)保有国、非保有国の間が分断されてしまった。われわれが懸け橋となっていかなければならない」と述べた。
終了後、県被団協の佐久間邦彦理事長(72)は「政府はいつも『懸け橋になる、日本は中立だ』と言うが、立ち位置が保有国の側にあるのは明らか。日米同盟を最優先し、被爆者の声など聞いていない」と憤った。
もう一つの県被団協の坪井直理事長(92)は、日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、南区)の早期移転も要望。同席した加藤勝信厚生労働相(岡山5区)は2018年度、移転に向けた放影研の調査を支援する方針を示した。また、市が養成した被爆体験伝承者の国内外への派遣事業を検討することも明らかにした。
(2017年8月7日朝刊掲載)