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核廃絶 著名人「大使」に 平和首長会議 長崎で開幕

 国内外7千以上の都市が加盟する平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の4年に1度の総会が8日、長崎市で始まった。初日、核兵器廃絶の目標年とする2020年までの新たな行動計画を決定。先月に国連で制定された核兵器禁止条約を全ての国が早期に締結するよう、署名集めや各国政府への要請に力を入れる。著名人を廃絶の「キャンペーン大使」に任命する新規施策にも取り組む。

 総会は、24カ国から過去最多の171都市の首長たちが参加。長崎大で全体会議があり、事務局が示した行動計画案を採択した。

 柱の一つが「核兵器のない世界の実現」。条約交渉を求める従来の首長会議の署名を、早期締結を迫る内容に改め、日本被団協提唱の「ヒバクシャ国際署名」と連携して進める。核兵器の非人道性や事故などのリスクへの認識を広げ、核抑止力に依存する国に市民社会とともに政策転換を促す。キャンペーン大使に、文化芸術やスポーツの著名人を起用。アニメや音楽を使った平和教育も試みる。

 もう一つの柱は「安全で活力ある都市の実現」。核兵器廃絶にとどまらない活動を求める欧州やアフリカの加盟都市の声を踏まえた。各地のリーダー都市を中心に、テロや難民、環境破壊といった課題に関する会議などを開く。このため、必要なら19年以後、年2千円の納付金を6千円に上げ、増額分を地域活動に充てられるようにした。

 小溝泰義事務総長は「各地域で関心が高いテロなどの問題も扱って加盟都市を増やせば、廃絶へも力になる」と理解を求めた。総会は4年ごとに広島、長崎両市で交互に開いてきたが、次回は1年早く、廃絶目標年の20年8月に広島市で開くことも決めた。

 総会は10日まで。この日は、開会式で国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)が講演。禁止条約の交渉会議で議長を務めたコスタリカのホワイト大使が条約への各国の署名、批准を促す活動を期待するビデオメッセージを寄せた。首長会議は今月1日時点で162カ国・地域の7417都市が加盟している。(水川恭輔)

(2017年8月9日朝刊掲載)

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