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広島の被服支廠 部材抽出 耐震性調査 被爆建物 強度分析へ

 広島県は8日、広島市内最大級の被爆建物、旧陸軍被服支廠(ししょう)(南区)の耐震性調査で、建物の強度を判断するのに重要な工程となる「部材抽出」の作業を報道機関に公開した。建物の活用を提案してきた「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の5人も加わり、作業を見守った。

 1号棟内部で、作業員がドリルでコンクリート製の柱を削ったり、内壁のれんがをくりぬいたりした。取り出した部材は専門機関に送って分析する。

 懇談会代表で、被爆当時に建物内で救護に当たった中西巌さん(87)=呉市=は「活用への大きな一歩を目の当たりにして感動している。県は、建物の歴史的な重みを多くの人が感じられるような活用策を考えてほしい」と話した。

 被服支廠は1913年完成の鉄筋・れんが造り3階建て。現存する4棟のうち3棟を県、1棟を国が所有する。県の調査は2日に始まり、雨漏り対策の調査などを含めた現地作業が月内に終了予定。年度内に概算の耐震化費用と四つ程度の補強案を示す。(樋口浩二)

(2017年8月9日朝刊掲載)

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