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新増設が焦点 「上関」影響も 経産省 明記想定せず

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で9日始まったエネルギー基本計画の見直し議論は、中国電力上関原発(山口県上関町)の建設計画を左右する。基本計画に原発の新増設を盛り込むかが焦点となっているため。経産省は現時点で新増設の明記を想定しておらず、上関原発は先行きが見通せない状況が続きそうだ。

 この日の分科会に出席した大学教授や企業経営者たち委員15人のうち、少なくとも4人は新増設をテーマに取り上げるよう求めた。委員の一人は「新増設は時間がかかる問題。逃げずに早めに議論を進めるべきだ」と主張。一方、脱原発を求める委員もいて、議論の行方はまだ定まらない。

 基本計画は国のエネルギー政策の中期的な指針で、14年の策定時は新増設に触れなかった。今年は3年に1度の見直し検討時期となり、上関原発の建設を目指す中電には、新増設の必要性が明記されることへの期待が大きい。

 上関原発は、国に原子炉設置許可申請が出ている唯一の新設地だ。政府が新増設を想定していないため、原子力規制委員会は現在、審査していない。それでも中電は6月に建設予定地でボーリング調査を始め、建設の実現に意欲を見せる。

 新増設が容認されれば、中電は申請内容を見直すか再申請をするとみられる。清水希茂社長は広島県大崎上島町で報道陣に対し「上関は非常に大切な地点。早く国の意思を示してほしい」と語った。

 ただ世耕弘成経産相は分科会で「骨格を変える段階にないと考えている」と述べた。経産省は、50年までに温室効果ガスを80%削減する政府目標の達成に向け、エネルギー政策を議論する有識者懇談会を30日に開く。将来の原発の必要性も議論されるとみられ、どこまで原発新増設に踏み込むかが焦点となる。(河野揚、境信重、山田祐)

(2017年8月10日朝刊掲載)

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