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[変わる岩国基地] オスプレイ 中継拠点化 飛行の実態 不明な例も

 岩国市の米海兵隊岩国基地が、国内の米軍基地などを行き来する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの主な中継地となっている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された2012年10月以降、延べ318機(8月9日時点)が離着陸した。同飛行場のほか、米海軍厚木基地(神奈川県)や米軍横田基地(東京)などからも飛来している。オーストラリア沖での墜落事故を受け、山口県などは「住民に不安を与えかねない」として安全管理の徹底を求めている。

 県によると、オスプレイの岩国基地への飛来状況は、中国四国防衛局を通じて情報提供を受けている。それによると、12年延べ4機▽13年同41機▽14年同89機▽15年同44機▽16年同88機▽17年同52機―となっている。同じ機体が離着陸を繰り返すケースもあるが、月3、4回の頻度で飛来し、一度に6機で到着したこともあるという。

 飛来ルートは、配備先の普天間飛行場が目立つほか、厚木基地や横田基地、米軍三沢基地(青森県)、定期整備拠点の陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県)内の飛行場など国内の主な米軍基地との行き来が多い。具体的には、1機がことし3月30日、普天間から岩国へ到着後、横田へ飛び、木更津経由で再び岩国基地へ戻っている。

 一方、どこから飛来したか不明な機体や行き先が分からないケースもあり、訓練など飛来目的の詳細は明らかにされていない。

 こうした現状を踏まえ、県と岩国市などでつくる県基地関係県市町連絡協議会は7日、普天間飛行場の所属機の墜落事故を受け、防衛局に事故原因の究明や情報提供を米側に求めるよう要請。防衛局は「国内での飛行自粛を米側に申し入れた」と回答しており、9日現在、岩国基地への飛来は確認されていないという。(和多正憲)

MV22オスプレイ
 米海兵隊の主力兵員輸送機。主翼両端のプロペラの角度を変えることでヘリコプターのような垂直離着陸と、固定翼機並みの速度での長距離飛行ができるが、開発段階から墜落事故が相次ぎ、安全性への懸念が指摘されている。8月5日には、オーストラリア北東部沖で普天間飛行場の所属機1機が墜落。海兵隊員3人が死亡している。

(2017年8月11日朝刊掲載)

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