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広島城天守閣 劣化進む 復元60年 外壁や瓦の一部剝がれ落ちる

 広島城天守閣(広島市中区)の外壁や瓦の劣化が進行している。復元から約60年が経過し、一部剝がれ落ちた箇所も見つかった。市は10日、安全対策のため南側の入り口前に仮設の屋根を設置。来年度以降、補修をする予定だ。(城戸良彰)

 天守閣は原爆で倒壊後、市が1951年、広島国体に合わせて開催された体育文化博覧会の際に仮設天守を再建。国体終了後に解体された。57年の広島復興大博覧会を機に着工し、58年に鉄筋5階建てで復元された。

 市文化振興課によると昨年10月、城を管理する市文化財団の職員が巡回中、北側の堀との間の通路に落下物を見つけた。屋根瓦を固定するモルタルや外壁のしっくいと見られ、大きい破片は長さ20センチほどあったという。

 市は、天守閣周囲の通路に防護柵を設置して立ち入りを規制。同月から今年1月にかけて、下層部分の臨時点検を実施した。その結果、全体的に劣化が進んでいると分かり、落下物が発見されていない南側にある入り口前にも、仮設屋根を設けることにした。

 仮設屋根は幅3・7メートル、奥行き11・7メートル、高さ3・5メートル。鉄製の骨組みをメッシュシートで覆い、落下物を防ぐ。今後、市は12月にも木目模様など景観に溶け込む外観で、より強い構造の屋根に建て替える。

 市は今後、工法などを詰めた上で、2018年度以降に補修工事に着手する方針。同課は「今後は入館規制もありうるが、安全のためご理解いただきたい」としている。

(2017年8月11日朝刊掲載)

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