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「平和の門」 外観傷む 仏の作家ら広島市に05年寄贈

シート劣化 修繕追い付かず

 広島市中区の平和大通り緑地帯にあるモニュメント「平和の門」の外観が傷んでいる。フランス人作家たちが平和記念公園南側で制作し、被爆60年の2005年7月30日に市へ寄贈。風雨にさらされて、表面の保護シートが剝がれだし、汚れが目立つ。市はことし3月、予算の残金を集めて一部修繕したが、間に合っていない。(渡辺裕明)

 平和の門は、高さ9メートル、幅2・6メートル、奥行き1・6メートルのガラス製の門10基で構成される。イタリアの詩人ダンテの「神曲」に出てくる九つの地獄に、被爆を加えているという。東西75メートルにわたって北側の原爆資料館本館の柱と平行に立ち並ぶ。表面には49言語で「平和」を意味する文字が刻まれ、夜はライトで各門の文字が浮かび上がる。

 事業費約3億円を日本とフランスの企業などが出資し、フランスの建築家とグラフィックアーティストが世界平和を祈って制作した。設置から12年となり、台風などの風雨の影響で表面に貼られた透明の保護シートの隅が剝がれてめくれたり、空気が入って膨らんだりしている。本体に影響はないという。

 市はことし3月、計160枚あるシートのうち特に傷みの激しい11枚を貼り替えた。高所作業などで約130万円かかった。市平和推進課は「ひどいところがまだ何カ所かある。修繕したい」と本年度も残った予算を使って手当てする方針だが、全ては困難。来年度以降は、予算枠の確保を検討するという。

 平和の門は、外国人が写真を撮る姿も目立つ。市内のある観光事業者は「寄贈してもらった国の方から見たら失礼。早く適切な処置をした方がいいのでは」と指摘。同課は「寄贈品をみすぼらしい状態では置いておけない。平和記念公園が目の前にあり、おもてなしの意味もある。ただ税金を投入するので、費用対効果をしっかり考えたい」としている。

(2017年8月14日朝刊掲載)

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