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島根原発維持に2508億円 12~16年度 停止中も多額コスト

 中国電力が停止中の島根原発(松江市)1、2号機の維持費として、2012~16年度の5年間で計2508億円を支出したことが18日、分かった。2号機の建設費3033億円に迫る。原発は運転コストが安いとされてきたが、停止中でも設備を保つために多額の費用がかかることが示された。

 同社の有価証券報告書や損益計算書によると、1号機が定期検査に入り、2号機だけ動いていた11年度の維持費は、運転費用を合わせて653億円。東京電力福島第1原発事故の影響で2号機も含めて全面停止となった12年度以降は、燃料費がなくなったものの、年454億~545億円で推移する。16年度は510億円だった。

 16年度の維持費の内訳で最も多いのは発電所構内の警備業務などの委託費で、101億円と2割を占めた。発電所の建設費や安全対策設備の費用を分割して計上する減価償却費は97億円だった。

 このほか修繕費は87億円、給料手当は55億円。使用済み燃料の再処理などのために国の認可法人に拠出する金額は34億円に上った。廃炉に備え運転開始から50年間計上する原子力発電施設解体費は15億円だった。

 中電の電気料金は、原発維持費などのコストに一定の利益を上乗せして計算する「総括原価方式」で決まる。このため停止中の原発にかかる巨額の維持費も一般家庭などの電気料金から賄われている形だ。中電は、原発について「非常に重要な電源」と説明。維持費に加え、原発の代わりに稼働させた火力発電所の燃料費も増えているが「経営の効率化で吸収し、東日本大震災以降の経営が厳しい中でも現行の電気料金を維持している」としている。(境信重)

(2017年8月19日朝刊掲載)

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