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原発コスト 経営圧迫 島根1、2号機 長引く審査 2号機停止続く

 停止中でも多額の維持費がかかっている現状が示された中国電力の島根原発(松江市)。さらに再稼働に必要な安全対策費は4千億円を超え、コスト負担は経営を圧迫しつつある。中電は2号機を早く再稼働させて収支を改善したい考えだが、原子力規制委員会による審査が長引き、運転再開は見通せていない。(境信重)

 中電は2号機の再稼働に必要な審査を2013年12月、原子力規制委に申請した。審査に伴って、新規制基準に対応するため地震や火災に備えた追加工事が次々と必要になった。安全対策費は4千億円超に膨らんでいる。中電は使い始めた安全設備から順次、減価償却費に計上している。

 原子力規制委の審査の行方も見通しづらい状況が続いている。2号機の近くの宍道断層を巡り、規制委が東に延びる可能性を指摘。中電は7月、断層の長さの評価を従来の1・6倍の39キロに延ばす方針を規制委に伝えた。まだ確定には至っていない。想定される地震の規模が大きくなることで、安全対策費がさらに増える可能性もある。

 7月に廃炉作業が始まった1号機は、引き続き施設の管理にお金がかかる。廃炉費用は381億円と想定し、毎年度引き当てている。16年度末時点で351億円。残りについても引き当てを続ける。

(2017年8月19日朝刊掲載)

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