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Jアラート 不具合相次ぐ 北朝鮮ミサイル 中四国で訓練

 北朝鮮による米領グアム周辺への弾道ミサイル発射に備え、政府は18日、上空を通過する恐れのある中四国地方の9県と全202市町村を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)の情報伝達訓練を実施した。機器の正常な作動を確認するためだったが、自治体が配信したメールの文字が正しく表示されなかったり、防災行政無線から音声が流れなかったりするトラブルが相次いだ。総務省消防庁は詳細を調べ、再訓練するかどうか判断する。

 政府が「これはJアラートのテストです。これでテストを終了します」との電文を午前11時に発信。屋外や各戸の防災行政無線、ケーブルテレビ、携帯電話のメールなどを通じ、電文と同じ情報が流れた。

 中国地方では、5県の危機管理担当などによると、2県と8市町で不具合があった。岡山、島根両県は、登録者に防災情報などを伝えるメールで「文字化け」の状態で配信。岡山は約2万8100人、島根は約1万5千人が登録していた。岡山はプログラムミス、島根は文字コードの設定に誤りがあったという。両県とも同日、おわびのメールを送信。島根県防災危機管理課は「二度とないよう適切に対応したい」とした。

 広島市では安佐北、佐伯の2区役所で館内放送が流れなかった。原因は調査中。尾道、府中の両市は、県から情報を受信したが、登録制の防災メールが自動配信されなかった。尾道は約5300人、府中は約6200人が登録していた。三次市では約8500戸に設置されたケーブルテレビで音声が流れなかった。広島県世羅町では、デジタル機器に更新した約2千戸で防災行政無線が流れなかった。

 鳥取市では、2004年に編入合併した旧8町村のうち6町村で、防災行政無線の音声の一部が聞き取れないなどのトラブルがあった。米子市と鳥取県日野町では防災行政無線が起動せず、屋外設置のスピーカーから音声が出なかった。

各自治体、緊張の対応 市民「怖い」 不安の声も

 中四国9県で18日に実施されたJアラート訓練。自治体は対応や確認作業に追われ、防災行政無線やメールで情報を受けた市民は不安や懸念を口にした。

 広島県庁の危機管理課に設置されたJアラート専用の受信機器。午前11時に受信を知らせる赤いランプが点灯すると、訓練を知らせる電子音声が流れた。山田大平参事は「まず情報を県民に伝えることが第一。万全の態勢を取りたい」と緊張した表情で言った。

 松江市役所でも受信をチェックした防災安全課の職員が窓を開け、屋上のスピーカーの音声を確認した。小川祐課長は「有事の際には自治体や報道の情報に基づき、冷静に正しい行動を取ってほしい」と話した。

 広島市中区の平和記念公園でも、屋外スピーカーから放送が流れた。佐伯区の主婦植木真理子さん(67)は孫たち4人と耳を澄まし、「放送を聞くと身の危険が迫っているようで怖い」と眉をひそめた。公園内を清掃していた西区の今田富士子さん(83)は「『何か流れとるな』という程度で、内容はよく分からなかった」と話した。

 米海兵隊岩国基地を抱える岩国市。基地滑走路の北側の同市東地区に住む酒井恒嘉さん(74)は「基地が標的とされていても、ここで生活している以上は逃げられない。ミサイル発射や避難行動など、もしものことが起こらないのが一番」と不安げに話した。

(2017年8月19日朝刊掲載)

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