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「不安残る」「地元無視」 オスプレイ試験飛行 周辺自治体 批判強く

 米海兵隊岩国基地(岩国市)に駐機している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが試験飛行を始めた21日、基地周辺や米軍機の低空飛行訓練のルートになっている自治体、市民団体から「住民の不安は解消されていない」「地元を無視した頭ごなしの対応だ」と反発の声が相次いだ。

 自治体の首長が不安や反対を訴える中で、強行された試験飛行。山口県和木町の古木哲夫町長は「国は地元の理解を得るよう説明を尽くすべきだった。禍根を残すやり方だ」と批判。同県周防大島町の椎木巧町長も「何を言っても聞き入れられない無力感がある」とため息をついた。

 広島県の湯崎英彦知事は「安全対策を分かりやすく説明しないと、(本格配備を予定する)沖縄県の受け入れも難しい」とみる。大竹市の入山欣郎市長は「沖縄県が受け入れない場合、どうなるか不安」と、岩国基地への駐機が長期化することに懸念を示した。

 岩国基地所属の米軍機は、広島県西部の沿岸や北部の山間部で低空飛行訓練を繰り返し、住民は騒音被害に悩む。2004年に米軍ヘリが太田川の中州へ緊急着陸した広島県安芸太田町の小坂真治町長は「政府の安全宣言だけでは住民の安心につながらない」と指摘する。

 年内にも町内に騒音測定器を設置する北広島町の竹下正彦町長は「オスプレイを含め、訓練の実態把握を進める」と強調。観測担当の職員に注視するよう指示した。

 低空飛行が相次ぐ廿日市市の真野勝弘市長と三次市の増田和俊市長は「安全性への懸念が払拭(ふっしょく)されないままの試験飛行は遺憾だ」とコメント。市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長は「試験飛行をやめるよう政府は米国に求めるべきだ」と憤った。

(2012年9月22日朝刊掲載)

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