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原爆絵本に各国から反響 贈呈グループに礼状次々 広島

仏マクロン氏/米ケネディ氏/独メルケル氏

 原爆被害を伝える英訳絵本を海外に贈っている広島の市民グループ「ひろしまと世界を結ぶこども文庫」に対し、フランスのマクロン大統領の側近から礼状が届いた。ここ1年ほど、送付先からの反応が増えているという。

 贈るのは被爆直後の惨状を詳細に描いた「絵で読む 広島の原爆」(文・那須正幹、絵・西村繁男、福音館書店)の英語版。海外の学校などのほか核兵器保有国の要人にも届けている。

 今年5月にマクロン氏が大統領に就任した際、在日フランス大使館(東京)気付で郵送すると、パリの大統領首席補佐官から「大統領はあなたの思いを繊細に感じ取った」と書状が届いた。代表の柴田幸子さん(85)=安佐南区=は「核兵器を簡単に放棄するとは思えない。でも小さな一歩では」と喜ぶ。

 こども文庫は助成金やカンパに支えられ、メンバーが手分けして約20年間で160カ国に2500冊の絵本を広めた。15年にはキャロライン・ケネディ米駐日大使から「大使館員と絵本を共有します」といううれしい返事をもらった。

 昨年4月の広島外相会合に合わせて出席者に絵本を送ったところ、ケリー米国務長官とエロー仏外相の代理からも礼状が届いた。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の後、ドイツからはメルケル首相の秘書名の書状を受け取った。

 だが手応えを感じる機会は決して多くない。オバマ前大統領とミシェル夫人や就任前のトランプ大統領からは返事がなく、トランプ氏顧問のイバンカ・トランプ氏に宛てた本は理由は不明だが、大使館から「受け取り拒絶」された。

 本人たちに実際が絵本を手にしたかは確かめようがないが、「絵本は言葉の違いを超えた理解を可能にする。地道に粘り強く続けたい」と柴田さんは話す。(金崎由美)

(2017年8月21日朝刊掲載)

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