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オスプレイ反対意見書案 市町議会 対応分かれる

 島根県西部の市町議会で、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの国内配備に反対する意見書案への対応が分かれている。多数を占める自民党系議員の間で、国への意見書提出に賛否が割れているためだ。江津市議会は21日、意見書提出を求める陳情を本会議で採択した一方、全会一致に至らないことを理由に意見書案の審議を見送った。(石川昌義、浜岡学、黒田健太郎)

 江津市議会は定例会最終日の本会議で、共産党市委員会の陳情を9対5の賛成多数で採択した。自民党系3会派(計9人)から4人と社民党系会派の2人、無会派3人が賛成し、自民党系の5人が反対した。

 最大会派で自民党系の創政クラブは4人中3人が賛成した。森脇悦朗代表は「政府は安全宣言を出したが、国民に対しては説明不足」と指摘。2人全員が反対した自民党系の政友クラブの田中直文代表は「日本は安全保障で米国に依存している。オスプレイは対中国の抑止力にもなる」とする一方、「共産党の主張に乗らないことが保守本流の姿勢だったのだが…」と漏らす。

 浜田市議会は、14日の議会運営委員会(5人)で共産党市議が意見書案の本会議での審議を求めたが、賛同は民主党系の1人にとどまった。

 一方、県内の市町村議会で唯一、意見書案を可決した邑南町議会。住民団体からの請願を受け、自民党系議員が調整に動いた。

 配備反対の前提に「安全性が確保されていない現状では」との文言を挟み、将来の配備に含みを持たせた。意見書案をまとめた総務委員会の辰田直久委員長は「町民は米軍機の騒音に悩まされている。オスプレイは事故が多いとするデータもあり、声を上げなければならないとの考えは党派を超えた議会の総意だ」と力説する。

 県西部では益田、大田の各市議会で意見書案の審議が見込まれている。米海兵隊岩国基地(岩国市)に搬入されたオスプレイの試験飛行が始まり、安全性への懸念が広がる中、対応に注目が集まる。

(2012年9月22日朝刊掲載)

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