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岩国の海自ヘリ事故1週間 原因究明へ作業続く 元操縦士「人為ミスも」

 海上自衛隊岩国基地(岩国市)で海自のCH101ヘリコプターが訓練中に横転し4人が負傷した事故は24日、発生から1週間。海自が独自に設置した事故調査委員会は、事故機から回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析などを進めており、現時点で原因は明らかになっていない。一方、海自の元ヘリ操縦士は「高度な技術が求められる訓練」として人為的ミスの可能性を指摘する。(松本恭治、和多正憲)

 CH101は、南極観測船(砕氷艦)しらせの艦載機。海自によると、事故はしらせが南極に行った際の物資運搬を想定し、ドラム缶2本をつり下げて飛行する訓練中に起きた。当日の訓練は午後1時~2時半ごろの予定。同2時ごろの現場周辺の風は運航に支障のない程度だった。事故機は主回転翼(メインローター)が地上に接触し、横転。主回転翼が大破した。

 今回の訓練について、哨戒ヘリの操縦士だった元海自隊員は「ヘリのパイロット資格の中で上級者向け」と指摘。自身もドラム缶2本をつり下げて飛行した経験があり、熟達した技術が求められるという。事故原因を「荷物をつるためのフックを外したと思い込み、通常通りの旋回をしようと操縦したためではないか」と推測する。

 また、陸上自衛隊の元ヘリ操縦士も「高度な技術が求められる訓練なのは間違いない」と話す。事故原因については「一般論」と前置きした上で、荷物や機体下部が地上に接したまま飛行を続けた際にバランスを崩す「ダイナミックロールオーバー」という現象が考えられるという。

 海自の航空事故調査委は原則として発生後3カ月以内に、原因や防止方法に関する報告書をまとめる。事故当日に調査を開始し、これまでに乗員8人の聞き取りを一通り終えたが、フライトレコーダーの解析作業などにまだ時間を要するという。

 一方、事故機は現場から基地内の格納庫に収めており、修復可能かどうかを調べる。他に2機あるCH101と、同型機10機は飛行自粛を続けており、再開のめどは立っていない。

CH101ヘリコプター横転事故
 17日午後2時20分ごろ、海自岩国基地南寄りの滑走路東側の海に突き出たエリアで発生。海自や目撃者によると、ドラム缶2本(計約500キロ)をつり下げて飛行する訓練中、地上数メートルまで高度を下げたところでバランスを崩し、主回転翼が地面に接触して横転した。乗っていた男性隊員8人のうち、4人が打撲などの軽傷を負った。

(2017年8月24日朝刊掲載)

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