×

ニュース

オスプレイ試験飛行 山口県民、怒りと不安の声

 「本当に墜落しないのか」「騒音が拡大するのでは」―。岩国市の米海兵隊岩国基地で21日に始まった垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの試験飛行。海外で事故や緊急着陸が相次いだ新しい概念の飛行機は、地元の反対を押し切る形で飛び立ち、県民には怒りや不安の声が広がった。

 米軍機の騒音などに苦しんできた岩国市。オスプレイ飛行は新たな心理的「負担」を意味する。JR岩国駅前でパン専門店を営む神高克彦さん(48)は「いくら地元が反対しても飛ぶなら、国は直接市民に語りかけるなど、もっと誠意を示すべきだ」と憤った。

 基地から中心部まで約15キロ離れた同市周東町の団体職員北野浩さん(48)も「試験飛行で主に海上を飛んでいるが、陸上を飛ぶ可能性はゼロではなく、安全と言われても…。住民が安心できる訓練方法を日米両政府でよく考えて」と訴えた。

 「バラバラバラ」。岩国市に隣接する柳井市神代地区。高台に広がる宮岬団地では午後4時前、基地に戻るオスプレイが肉眼ではっきりと見えた。前を向いた二つの回転翼もはっきり。「近いな」。住宅リフォーム業大越国義さん(62)は「米国本土でも飛行を疑問視する声があるのに外国で飛ばすとは。許されない」と声を荒げて続けた。「空母に乗せて海上でやればいい。国防に協力するといっても限度がある」

 目撃情報が相次いだ周防大島町。東安下庄の団体役員田中豊文さん(52)は「騒音を増大させる懸念がある。落ちる危険性が高い機体をなぜ国は受け入れるのか、理解できない」と首をかしげた。

 オスプレイ2機は、下関市の市街地上空を通過。同市沖の訓練空域に向かったとみられる。ホームセンターで買い物を終えた下関市彦島の無職山本勝隆さん(72)は「関門海峡付近を通ったらしいが、本当ならとんでもない。もしものことがあれば、乗員の命だけでは済まない。(市街地上空は飛ばない)約束をきちんと守るべきだ」と話し、何度も上空を見上げた。

 山口市での抗議集会に参加した主婦谷本須美さん(69)は「オスプレイは全国で訓練が検討され、もはや沖縄や岩国だけの問題ではない。米国の要求に日本政府が従うしかないなら、日米安保条約をなくすしかないのでは」と語気を強めた。

(2012年9月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ