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戦争題材の芝居 小説に 戦死した若者ら描く 光の作家・室積光さん「遠い約束」

 山口県光市室積の俳優で作家の室積光さん(62)が、18年間上演し、自らが脚本、演出、出演している「遠い約束~おじいさんのタイムカプセル」の小説を出版した。

 1933(昭和8)年、14歳になる男子5人が作文「私の将来」を母校の尋常小学校の校庭に埋め、50年後に集まって開封しようと言う。しかし、戦争が始まり、4人が軍医や特攻隊などで戦地へ。結局、みんな戻らなかった。

 体が弱く戦地に赴かなかった1人が、「記録係」として残る。50年後、その残った1人が母校の創立100周年記念式典で掘り起こした作文の入った缶を手にして、戦死した彼らについて語る。

 室積さんは「芝居は使命感も含めてやりがいはあるが、本にして形として残したかった」と小説としたきっかけを話す。「単に兵隊というのではなく、今の時代と何ら変わらない若者たちが亡くなったんだということを知ってほしい」と力を込めた。

 脚本では描いていない登場人物の家族の後日談などもつづっている。舞台は室積さんが主宰する「東京地下鉄劇場」が全国の小中学校を中心に2000年から上演している。B5判、170ページ。キノブックス、1512円。(島田俊之)

(2017年8月29日朝刊掲載)

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