×

ニュース

毒ガス工場遺跡 マップに 忠海高生 大久野島10ヵ所 証言も取材

 竹原市の忠海高の生徒が、対岸の大久野島にあった旧日本陸軍の毒ガス工場の関連遺跡を紹介するマップ作りを進めている。英語版もそろえ、国内外からの観光客に島の歴史を伝える。

 メンバーは1~3年生の有志10人。計画では、マップはB4判二つ折りで、貯蔵庫跡や発電所跡などの説明文と写真を収める。10月の完成を目指し、JR忠海駅などに置く。7月末に島内の遺跡10カ所を巡って取材し、教室で週1回、編集作業を進める。

 「毒ガス製造に従事させられた人の生の言葉を盛り込みたい」。生徒2人は8月中旬、市内の集会施設であった三原市の岡田黎子さん(87)の証言を聞く会にも参加した。

 岡田さんは15歳で動員され、原料入りのドラム缶の運搬や風船爆弾作りに携わった。証言を熱心にメモに取った2年の大沢奏来(そら)さん(16)は「自分と同年代が危険な仕事をさせられていたと分かった」と話す。

 同校は2005年から夏休み期間中に、毒ガスの後遺症に苦しめられた人々の慰霊碑を清掃し、活動をマップ作りに広げた。3年の宝田恭也さん(18)は「ウサギ目当ての観光客に、島の悲しい過去と平和の大切さを発信したい」と話している。(山田祐)

(2017年8月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ