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永田町発 自民党政調会長 どう務めますか 岸田文雄氏(広島1区)

独自色 長期的視点が鍵

 自民党の役員人事で、党の政策の取りまとめ役である政調会長に就いた岸田文雄氏(広島1区)。中国新聞の取材に、経済や社会保障などの政策課題について「長期的な視点で取り組むことで独自色を出したい」と抱負を述べた。安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正は、スケジュールありきでなく、丁寧に党内議論を進める必要性を強調した。(野崎建一郎)

  ―初の党三役として、どのような政調会長を目指しますか。
 政務調査会は経済など主要課題で内閣を後押しし、時には議論をリードする必要がある。予算や法律の議論は、ややもすると短期的な視点の議論になりがちだ。長期的な視点で議論する枠組みを工夫したい。中長期的な課題に取り組むことで独自色が出せればと考えている。「持続可能性」が一つのキーワードだ。

  ―持続可能性を実現させる政策とは。
 例えば、アベノミクスは賃金引き上げや雇用創出で成果を上げているが、消費の力強さが欠けるとの指摘がある。成長の果実を地域や分野で偏りなく分配すれば、より多くの人が成果を感じられる。そのことが格差解消につながるし、社会の持続可能性にも結び付く。今後、具体的な政策を考えていきたい。

  ―9条を巡って多くの意見がある憲法改正について、どう党内の意見を集約していきますか。
 丁寧に議論することが重要だ。そのことが、議論の促進や、国民の理解につながる。首相は「スケジュールありきではない。議論は党と国会対策委員会に委ねたい」と発言している。

  ―改憲について首相は当初、2020年施行や臨時国会への党案提出を目指すとしていました。そうした日程ありきではないと考えているということですか。
 もちろんだ。

  ―政調会長の就任会見で、今は9条改憲を考えない、との考えが「変わっていない」と述べました。
 平和安全法制(安全保障関連法)を巡る議論では、憲法との関係でどこまで安全保障上の備えができるのかが議論になった。現在はこの法制がうまく機能するか試されている段階なので、9条をすぐ動かすのは考えるべきではない。

  ―そうした考えを政調会長としても主張しますか。
 意見を求められれば、考えを述べる。ただ、政調会長は自分の意見を押し通すのではなく、意見をまとめて結論を出すのが役割だ。

  ―政調会長就任で、党の派閥・宏池会などでは、将来の首相就任への期待が高まっています。
 政調会長を務めることで、外相として担った外交、安全保障分野に加え、経済や社会保障、農業などさまざまな政策課題に取り組める。政策や人脈で政治家としての幅を広げることができるだろう。ただ、ポジション、ポストは、努力の積み重ねの結果なので、まず職務を果たすのが大切だ。1年以上先の次期総裁選についても今、申し上げるのは控える。

(2017年9月1日朝刊掲載)

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