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「ひろしま」デジタル復刻 広島で9~15日 初上映

 被爆直後の広島の惨状を描いた映画「ひろしま」(1953年)のデジタルリマスター版が完成し、9~15日、広島市中区の八丁座で全国初上映される。

 広島で被爆した少年少女の体験記集「原爆の子」(長田新編、51年)を基に八木保太郎が脚本を書き、関川秀雄が監督した。延べ9万人の市民がエキストラで参加。広島市出身で5月に亡くなった月丘夢路が出演を志願し、ノーギャラで教師役を演じたことでも知られる。1955年のベルリン国際映画祭で長編映画賞を受賞した。

 製作当時、「反米色が濃い」などの理由で大手の映画会社が配給を断り、自主上映に。長く埋もれていたが、2008年から、父が関川監督の「監督補」を務めた故小林一平さんが全国に上映運動を広げた。

 オリジナルネガの保全や映画館のデジタル化に対応するため、デジタルリマスター版を作った。フィルムの傷や画面の揺れなどを修正し、細部の表現が見えやすくなった。

 父一平さんの遺志を継いで上映プロジェクトを進める小林開さん(東京都)は、リアリズムに徹した本作の意義を強調し、「鮮明になった映画を最初に広島で上映したい、という思いがかなってうれしい」と話している。

 連日午後4時20分から上映。9日の上映前、小林さんの舞台あいさつがある。八丁座☎082(546)1158。

(2017年9月2日朝刊掲載)

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