×

ニュース

被爆者の苦しみ訴え 中区 広島大の鎌田名誉教授

 広島原爆の近距離被爆者の調査を続けた広島大原爆放射能医学研究所(現原爆放射線医科学研究所、原医研)元所長の鎌田七男名誉教授(80)が2日、中区の原爆資料館東館で講演した。放射線の影響で数々の病気を患った被爆者の苦しみを代弁し、原爆投下の非人道性を訴えた。

 鎌田さんは1972年から、爆心地から半径500メートル以内の被爆生存者78人の健康調査に取り組んだ。講演では、うち2人の胃がんや髄膜腫などの病歴に触れ、被爆がもたらした染色体の異常が原因だと説明した。

 「精神的に限りない不安を生涯つきまとわせ、家庭崩壊や貧困など虐待の状態にさせた」と語り、原爆を強く非難した。

 原医研が10月19日まで、鎌田さんの調査資料を同大医学部医学資料館(南区)で初公開しているのに合わせて講演会を企画。約150人が参加した。(畑山尚史)

(2017年9月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ