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自閉症 理解深める紙芝居 広島市の「まち物語委員会」が制作開始

 東日本大震災の被災者と交流する広島市の市民グループ「まち物語制作委員会」が、自閉症をテーマにした紙芝居づくりに乗り出した。災害時に避難所で孤立しがちな自閉症の人や家族の現状を知り、病気について広く理解してもらいたいと企画。広島で関係者を交えて課題を語り合うワークショップを重ねており、来春の完成を目指す。(栾暁雨)

 広島市西区で8月下旬に初めて開いたワークショップ。広島や帰還困難区域の福島県大熊町出身の自閉症の子がいる家族たちから、避難時の苦労や子育ての悩みを聞いた。現在も埼玉県川口市に避難する女性(39)は、自閉症の中学3年の長女(14)が慣れない生活で精神的に不安定になったなどと紹介した。

 広島自閉症協会の小野塚剛理事長(56)は、予想外の出来事でパニックを起こすこともあり、不特定多数の人が集まる避難所生活は特につらいと指摘。「孤立を防ぐためのサポートや配慮が必要だ」と呼び掛けた。

 委員会は2011年1月に発足。直後に起きた大震災や福島第1原発事故の被災地を訪問して被災者と交流する中、自閉症の子がいる家族から聞いた悩みなどが、ワークショップを開くきっかけになった。

 福本英伸代表(61)=廿日市市=は「災害時には自閉症の人や家族の苦境がより浮き彫りになる」と話す。今後は、県内の自閉症の人や家族、支援者などと会話を重ね、被災地でもワークショップを開いて、被災者の経験をヒントに来春に紙芝居を仕上げる計画だ。「悩みを共有し、自閉症について理解を深める作品にしたい」と意気込んでいる。

(2017年9月5日朝刊掲載)

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