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旧中島地区 被爆前の活気 9人の手記と聞き書き 広島の市民団体が冊子

 広島市の市民団体、ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会が、平和記念公園(中区)一帯にあって、原爆で消えた旧中島地区の営みを伝える冊子「証言 町と暮らしの記憶」を自費出版した。(伊藤友一)

 9人の手記と聞き書きを収録。材木町の誓願寺で竹馬やトンボ捕りをして遊んだり、紙芝居を見たり…。被爆前の町の活気をそれぞれ回顧している。

 それだけに、中島本町の理髪店で育った浜井徳三さん(83)=廿日市市=は原爆投下2日後に疎開先から戻り、焼け落ちた自宅を見て「ただただ、ぼうぜんとするのみだった」と記す。子どもたちが通う中島国民学校があった水主(かこ)町の4人分も含まれる。

 実行委は2003年以降、旧中島地区の元住民たちと一緒に現地を歩いて記憶を聞き、証言集を刊行。高齢化が進む中、8冊目となる今回は中川幹朗代表(58)=南区=が元住民の自宅を訪ねて聞き取るなどした。中川代表は「そこに町があり、人々が暮らしていたのを忘れないでほしい」と願う。A5判、192ページで1500円(送料別)。実行委☎082(255)1923。

(2017年9月8日朝刊掲載)

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