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毒ガス治療 竹原で学ぶ イランの看護師4人訪問

 イランで毒ガス被害者の治療に当たる看護師4人が7日、竹原市忠海中町の呉共済病院忠海分院を訪ねた。対岸の大久野島にあった旧日本陸軍の毒ガス製造工場の被害者を治療して、同分院が蓄積してきた知見を学んだ。

 4人は、イラン・イラク戦争で使われた毒ガスの被害者が治療を受ける首都テヘランのササン病院に勤務している。同分院の近藤圭一分院長(59)は、慢性気管支炎などの後遺症に、いまだ約380人が苦しみ通院していることを説明した。

 院内で保管している約3千人分のカルテの保管庫も見学。症状などに応じて色分けされ整理されたファイルに見入った。ファテメ・ゴラミさん(46)は「古いカルテも丁寧に管理されている。化学兵器の恐ろしさを世界に伝えるために大切なことだ」と感心していた。

 一行はイランの毒ガス被害者を支援する広島市東区のNPO法人モーストが招いた。4日に来日し、広島赤十字・原爆病院(広島市中区)などを訪問。8日以降も広島市内の病院を巡り、12日に帰国する。(山田祐)

イランの毒ガス被害
 イラン・イラク戦争(1980~88年)で、イラク軍が主に国境付近でマスタードガスなどを使ったとされる。兵士と市民の計1万3千人が亡くなったといわれ、6万5千人が呼吸器や目などの後遺症に苦しむ。

(2017年9月8日朝刊掲載)

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