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オスプレイ体験搭乗 岩国・大竹職員ら 安全確認できず

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの体験搭乗が27日、米海兵隊岩国基地(岩国市)であった。岩国、大竹両市、山口県周防大島町の職員や議員、国会議員12人、沖縄県名護市議ら計約90人が参加。短時間の飛行で安全性への懸念を払拭(ふっしょく)するまでには至らず、騒音の軽減や住宅地上空を飛行しないよう求める声も上がった。

 体験搭乗は、森本敏防衛相が米側に申し入れて実現したが、岩国市の福田良彦市長、山口県の山本繁太郎知事、広島県の湯崎英彦知事、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事らはいずれも搭乗しなかった。

 基地近くから体験搭乗を視察した福田市長は「騒音は予想ほど大きくないが、きょうだけの情報で住民の不安が払拭されるものではない」と述べた。

 体験搭乗ではオスプレイは基地近くの海上を楕円(だえん)上に3周、計20分飛行。岩国市は職員3人が情報収集目的に参加し、機内などをビデオカメラに収めた。杉岡匡基地政策担当部長は「乗ることで安全性が確認できたということではない」と強調した。

 大竹市の大原豊副市長は「高速で遠くに行くので騒音は時間的に短いと感じた」。オスプレイが上空を飛んだとの目撃情報が寄せられている周防大島町の星出明総務部長は「プロペラのモード変換はスムーズだった」とした。周防大島町の平野和生町議は「(事故を起こす)リスクは必ずある。住宅地上空を飛ぶのは避けてほしい」と注文を付けた。

急上昇・旋回 体に圧力 搭乗ルポ むき出しのケーブル

 グレーの機体に「03」と黒く書かれた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに27日、乗り込んだ。高さ、幅とも2メートル弱の機内には、むき出しのケーブルが走り、スイッチや注意書きも。隊員24人の輸送用に両側面に並ぶ折り畳み座席に座った。

 午前10時35分ごろ、隊員が親指を立て、しばらくするとゴゴォーと音がして機体が浮上。約20分間、米海兵隊岩国基地東沖を3周した。説明では、高度300~600メートル、80~170ノットでプロペラの角度を変えた飛行を実施。大きく開いた機体後部から見える景色やぐっと押さえつけられる体への圧力で、急上昇や旋回を実感した。

 第1海兵航空団のクリストファー・オーウェンス司令官は「安全性、能力の面で海兵隊の配備機の中で最も優れている」と強調。だが、席の近くに窓はなく、実際に角度を変えるプロペラの動きは見えなかった。ウィーンという機械音や圧力、隊員のしぐさを頼りに、ひたすら見える範囲の動きに焦点を合わせてシャッターを切った。米側の強調する安全性は機内だけでは確認しようがなかった。(堀晋也、写真も)

(2012年9月28日朝刊掲載)

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