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国交省、記録文書なし 上関埋め立て免許延長巡り山口県と協議

 中国電力が山口県上関町で進める上関原発建設計画に絡む公有水面埋め立て免許の延長許可を巡り、同県と国土交通省が2011年5月~16年7月の10回にわたって同省で協議した内容について、国交省が記録文書を作成していなかったことが14日、分かった。同省は「法解釈の質問に答える軽微な内容で、公文書にするようなものではない」と説明。専門家は「国には説明責任があり、公文書管理法や情報公開法の趣旨に反する」と指摘している。

 周南市の40代男性がことし7月中旬、国交省に情報公開請求し、8月16日付で不開示決定された。決定通知書は不開示理由について「山口県から(公有水面埋立法を所管する)国交省水管理・国土保全局水政課に対して報告、質疑が行われたが、それに関係する記録は作成しておらず資料も保有していないため、当該請求に係る文書は不存在」と記している。

 中国新聞の取材に対し、同水政課は「法解釈への問い合わせは多い。担当者個人がメモを取っていたかは分からない」と答えた。

 山口県は、同省との協議に関する県職員の出張復命書について、県情報公開審査会の答申などを受け開示している。県は全10回の日時、出席者、やりとりの概要などを公開。協議時間は1回当たり30分~1時間50分で計12時間10分に上る。

 建設予定地の海の埋め立てを巡っては県が昨年8月、中電が12年10月以降、3度にわたって申請した免許延長を一括許可した。

 山口大経済学部の立山紘毅教授(憲法学・情報法学)は「国のエネルギー政策に関わり県民の関心が高い問題。5年間で10回も県職員が出張した内容が軽微なのか。公文書管理法上、本当に軽微かは国側で立証しなければならない」と指摘。「役所の秘密主義を象徴しており、森友学園や加計学園の問題にも通じる」と疑問を呈している。

 男性は近く不服審査請求するという。(佐藤正明)

(2017年9月15日朝刊掲載)

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