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[核なき世界への鍵] 核禁止条約 20日署名開始 初日50ヵ国達成焦点

 核兵器を全面的に禁じる初の国際条約である核兵器禁止条約の発効に向け、各国による署名が20日、始まる。条約は7月、国連の交渉会議で122カ国の賛同で採択。前文で被爆者の苦しみに触れて、核兵器の開発や保有、使用などを禁じる内容で、推進国は早期発効を目指す。ただ、米国などの保有国に加え、安全保障を米国の「核の傘」に頼る日本政府も署名、批准しない方針でいる。

 署名開始初日には、米ニューヨークの国連本部で現地時間の朝、有志国が集って署名式を開く。条約は、50カ国が署名後、批准など国内手続きを終えれば発効すると定めており、初日にその数を上回るかどうかが焦点。各国が批准手続きをスムーズに進めれば、1年余りで発効する見通しだ。署名式には長崎市の田上富久市長や、日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)が出席する。

 北朝鮮が3日に6回目の核実験を強行し、国際社会の緊張が高まる中、条約を推進する非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーンは「多くの国が署名すれば、核兵器は許されない兵器だと北朝鮮に強く示すことになる」と意義を強調。各国に署名を促している。

 一方、制定交渉をボイコットした米国は条約採択の直後に署名、批准しないと表明。「この条約は、北朝鮮の核計画という重大な脅威に対する解決策を全く提示しない」と主張した。日本の安倍晋三首相も8月6日に広島市内での記者会見で署名、批准しないと言明した。日本被団協や広島の反核団体は日本政府に対し、核に頼る安全保障から脱却し、条約体制に加わるよう求めている。(水川恭輔)

(2017年9月17日朝刊掲載)

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