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[変わる岩国基地] オスプレイ1機 飛来から1ヵ月超 市民団体 トラブルを警戒

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ8月12日に飛来した垂直離着陸輸送機オスプレイ1機が、1カ月を過ぎてもとどまり続けている。同基地所属ではないオスプレイの駐留期間としては異例の長さで、点検や整備を重ねているとみられる。同じ日に飛来した同型機は8月末に大分空港(大分県国東市)へ緊急着陸しており、市民団体はトラブルの続発を懸念している。

 15日、岩国基地の駐機場。オスプレイの周りには朝から米軍関係者が集まり、エンジン部分を確認していた。10日に格納庫から姿を現して以降、連日繰り返される光景だ。昼すぎに離陸して沖合を旋回したが、15分ほどで再び着陸した。13日には消防車が機体を取り囲む場面もあったという。

 オスプレイを巡っては8月5日、オーストラリア沖で墜落し3人が死亡する事故が発生。飛行自粛を求めた防衛省が容認に転じた同月11日、岩国基地へは4機が到着し、同日中に全機が三沢基地(青森県三沢市)へ向かった。翌12日にも6機が飛来し、16日に3機、17日に1機が三沢基地へ移動。北海道での日米共同訓練に参加したとみられる。

 残った2機のうち1機は28日、岩国基地で白煙を上げ、29日には大分空港へ緊急着陸した。同機は6月6日、沖縄県伊江村の米軍伊江島補助飛行場に緊急着陸していたことも分かっている。もう1機が、現在も岩国基地にとどまる機体だ。

 宮崎県は今月1日、2014年6月27日に岩国基地を離陸したオスプレイが同県上空で落雷に遭い、プロペラの羽2本を焦がす被害が出ていたと発表。岩国市などによると、岩国をこの日離陸したオスプレイは2機で、大分空港に緊急着陸した機体と現在もいる機体とみられる。ほぼ同時刻に飛び立ち、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に向かったという。

 廿日市市の市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」によると、落雷に遭ったのは、大分に緊急着陸した機体とみられる。坂本千尋共同代表(64)は「岩国に残っている機体も雷の直撃は免れたとはいえ、放電の影響などで制御装置に問題があるのでは。これだけ事故やトラブルが相次ぐと不安を拭えない」と話す。

 在日米海兵隊を統括する第3海兵遠征軍(司令部・沖縄)は「ミッション達成に必要な整備とテストをしている。安全でない機体は運用しない」と説明。岩国基地を離れる予定については「将来的な飛行計画は答えられない」とした。(松本恭治、馬上稔子、藤田智)

(2017年9月18日朝刊掲載)

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